介護を始める上で大切なのは、「親や家族らしい生活を尊重すること」です。
やみくもに介護サービスを利用したり、ケアマネジャーや介護職員にすべて任せたりすると、親や家族の求める生活から離れてしまう可能性があります。普段の会話などから介護の事前準備をするとよいでしょう。
希望に寄り添った介護を進められるよう、「親や家族と事前に相談しておくべきこと」を4つみていきましょう。
①親の健康状態や使用薬・心身の状態について
介護の事前準備1つ目は、「健康状態や心身状態、使用薬の把握」です。
・過去の病歴や怪我、アレルギーの有無
・現在服薬している薬(保険証やおくすり手帳の保管場所含む)
・現在の体調や違和感のある心身状態
これらを親とのコミュニケーション・観察・かかりつけ医への質問などから把握しましょう。
ケアプランを立てる際に健康状態や症状を正しく伝えることで、適切な介護サービスを受けやすくなります。
例えば「食事での姿勢保持が大変」という情報があれば、ケアマネジャーは、それをもとにリハビリ等の計画を組みやすくなります。心身状態の改善が早まり、食事が楽しくなる可能性も向上するのです。
介護は認知度の低下により、正確な情報把握が難しくなることもあります。普段から観察やコミュニケーションによる情報収集を心がけてみてください。「階段の昇り降りができる」「腰痛がある」「不安なくトイレに行けているか」など注意深く観察すると分かることがたくさんあります。介護の事前準備には大切なことです。
②親の資金状態について
介護の事前準備2つ目は、「親の資金状態を知ること」です。
預貯金や借入金・年金収入などを知ることは、介護が長期間となった場合や、認知症等の影響で介護を受ける人だけで金銭管理するのが難しくなった場合でも、安心して介護生活を進めるのに役立ちます。
・預貯金および借入金
・加入している保険
・その他の資産(株や不動産など)
・お金に関する持ち物の保管場所(通帳やキャッシュカード、印鑑など)
上記のような金銭にかかわる情報をあらかじめ整理しておきましょう。その上で「介護に割けるお金はどのくらいあるのか?」を計算すると、長期的な介護プランに対応しやすくなります。お金の話を切り出すのは難しいと思われますが、親が元気な時が一番のタイミングです。介護の事前準備において重要なことです。
③親の交友関係について
介護の事前準備3つ目は、「親の交友関係を知る」「親の交友関係を整理する」ことです。
特に親と同居していない場合は、交友関係を把握することで介護に役立つ情報を集めやすくなります。例えば、近所の人や親の通っていたサークル仲間が協力してくれる可能性もあります。
具体的には、以下のような連絡先を控えましょう。
・親戚
・交流のある友人(学生時代、職場、サークル活動など)
・ご近所の人(民生委員や自治会の人を含む)
・かかりつけ医
他にも住んでいるエリアの保健所や、地域包括支援センターといった連絡先を事前に把握することで、スムーズに相談できます。
「自分が介護を必要としていることを知られたくない…」という想いに十分注意しながら、交友関係を整理してみてください。
④介護に関する親の希望について
介護の事前準備4つ目は、「介護に関する親の希望を知ること」です。
「老後はどんな生活をしたい?」「誰に介護をしてほしい?」といった情報は、繊細なテーマでありながら、生活を守る上で必要不可欠といえます。ケアマネジャーや介護職員は本人・家族の意見を参考に介護の計画を立てるため、希望を正しく伝えられるよう準備しましょう。
例えば「住み慣れた自宅で暮らし続けたい」という希望や、「病気が悪化したときに延命治療を受けるのか」といった判断を、周囲の人だけで把握するのは限界があります。
内容によっては話しづらいこともありますが、生活の質を守るために、本人を含めてコミュニケーションをとることが重要となります。
まずは雑談や生活の観察から、親の希望や要望を把握しましょう。