よくわかる介護知識 よくわかる介護知識

老老介護とは? 問題点から困ったときの相談先や解決方法までご紹介

2024/03/24

介護

「老老介護」や「認認介護」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?

高齢化が進む日本では、高齢者が高齢者を介護する老老介護が問題視されています。身体面・精神面の負担が大きく、共倒れしてしまうケースも多いようです。

しかし、老老介護や認認介護について「どういう意味なのか」「なにが問題なのか」を理解している人は少ないと思います。

そこで本記事では、以下の流れで老老介護について詳しく紹介していきます。

・老老介護とは
・認認介護と老老介護の違い
・老老介護の問題点
・老老介護の解決策
・老老介護で頼りになるサービス

老老介護の問題点を理解し、介護への漠然とした不安を減らしていきましょう。

老老介護とは?

「老老介護」とは、65歳以上の高齢者を65歳以上の高齢者が介護する状態を表した言葉です。

まずは老老介護の実態や原因について、詳しく見ていきましょう。

老老介護とは

介護者と被介護者がともに65歳以上である場合、「老老介護」となります。

厚生労働省による2022年の調査では、同居する介護者と被介護者の組み合わせは65歳以上×65歳以上である割合が「63.5%」。 40~49歳×65歳以上の割合は「5.3%」であり、高齢者同士の介護が多くの割合を占めていることがわかります。

出典:厚生労働省『2022年 国民生活基礎調査の概況 IV.介護の状況』

また、同調査によると、介護者と被介護者が75歳以上×75歳以上の割合は「33.1%」でした。
こうした75歳以上同士の老老介護を「超老老介護」といい、身体面・精神面の負担は老老介護よりも大きいです。

なお、老老介護における介護者は「同居人」が全体の58.7%を占めています。なかでも配偶者の割合は25.2%と高く、さらに介護者のうち65.0%が女性という調査結果もあります。

老老介護になってしまう原因

なぜ老老介護が増えているのでしょうか?

老老介護が増加した原因は「健康寿命と平均寿命に差があること」「核家族化が進んだこと」の2点です。

それぞれの原因について、詳しく解説していきます。

健康寿命と平均寿命に差がある

老老介護が増加した原因の1つ目は「健康寿命と平均寿命に差があること」です。

厚生労働省の発表によると、2016年時点での平均寿命・健康寿命は以下のようになっています。

男性 女性
平均寿命 80.98歳 87.14歳
健康寿命 72.14歳 74.79歳
平均寿命と健康寿命の差 8.84歳 12.35歳
出典:厚生労働省『令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-(本文)』

平均寿命と健康寿命の差は、男性で8.84歳、女性で12.35歳の開きがあります。開きがある期間は、介護を要する可能性が高いです。

医療の発達や食文化の変化により、平均寿命は年々延びています。しかし、平均寿命と健康寿命の差を縮められない限り、老老介護の増加傾向は続くでしょう。

核家族化が進んだ

老老介護が増加した原因の2つ目は「核家族化が進んだこと」です。

厚生労働省によると、核家族とは「夫婦とその結婚していない子どもだけの世帯、夫婦のみの世帯や父親または母親とその結婚していない子どもだけの世帯のこと」と明示されています。

引用:厚生労働省『いっしょに検証!公的年金 用語集』

核家族化が進むと、親と子どもが離れて暮らすケースが多くなります。

その結果、高齢者夫婦のみで介護をすることになり、老老介護へとつながってしまうのです。

認認介護との違い

老老介護と同様に「認認介護」も課題となっています。

認知症の増加にともなって深刻化している「認認介護」について、実態や原因を詳しく見ていきましょう。

認認介護とは

認認介護とは「介護者・被介護者がともに認知症」の状況を表した言葉です。

厚生労働省が発表した調査によると、65歳以上の認知症有病者数は、2025年でおよそ730万人になると推計されています。

出典:厚生労働省『日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 九州大学 二宮教授)による速報値』

また、65歳以上の高齢者のおよそ5人に1人が認知症であるとされ、徐々にその割合も増えていくと推計されています。これに比例して、認認介護の問題も増えると考えられています。

認認介護では、介護者・被介護者ともに認知機能が低下します。そのため以下のようなリスクに注意しましょう。

・食事をとったか覚えておらず、栄養失調につながる
・入浴や掃除を忘れてしまい、不衛生な状況が続く
・お金の管理ができない

場合によっては介護者自身が「認認介護である」という状況を認識できず、誰にも相談できないまま深刻化するケースもあります。

老老介護の問題点

老老介護の問題点は、大きく以下の2種類に分けられます。

・体力面の問題
・精神面の問題

介護者・被介護者が共倒れすることのないよう、問題点について詳しく見ていきましょう。

体力面

体力が低下した高齢者による介護では、身体面への負担が深刻化しやすいです。特に頻度の高い「入浴介助」「排せつ介助」「移動・移乗介助」では、足腰への負担は大きくなります。

また、体力の低下によって転倒リスクが増え、被介護者にともに怪我をする危険性は高いです。

他にも、体力がないことで1度の介護に膨大な時間を要し、精神的なストレスにつながることもあります。

精神面

介護に要する時間が増えると、他者との交流や外出機会が減ります。外部の助けを借りることができなくなるため、1人で解決しなければならないというストレスにつながりやすくなります。

また、リフレッシュする時間や自分の時間を捻出できず「介護うつ」につながってしまうケースも多いです。

引きこもりがちになることで介護者の認知機能が低下し「認認介護」になるリスクもあります。

次章で紹介する解決策とあわせて、紹介した体力面・精神面の問題へ早めに対応することが重要です。

老老介護の解決策

老老介護の解決策は以下の3つです。

① 地域包括支援センターへ相談する
② 介護サービスの利用を検討する
③ 施設への入居を検討する

具体的な解決策を知ることで、問題が深刻化する前に対応可能です。

地域包括支援センターへ相談する

老老介護の解決策1つ目は「地域包括支援センターへの相談」です。

地域包括支援センターは、地域に住む人の保健・福祉・医療・介護といったサポートを総合的に行っている機関です。

各地域に住んでいる65歳以上の高齢者であれば、誰でも無料で相談できます。

窓口で困っていることを相談し「必要なサービス」「利用可能な制度」などを紹介してもらいましょう。

介護サービスの利用を検討する

老老介護の解決策2つ目は「介護サービスの利用」です。

介護サービスには「介護保険サービス」と「介護保険適用(自費)サービス」の2種類があります。

介護サービスは、要介護認定等の条件を満たせば安価に利用できます。また上記以外のニーズがあれば、全額自己負担の自費サービスにて利用可能です。

プロの介護士によるサービスを利用すれば自分の時間が作れたり、介護の悩みを相談したりといったメリットが得られます。

「趣味の絵画教室がある水曜日はデイサービスを利用」といった細かな調整も可能なので、まずはどんなサービスがあるか情報収集してみましょう。

施設への入居を検討する

老老介護の解決策3つ目は「介護施設への入居」です。

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
・介護医療院

上記の介護保険施設に加え、有料老人ホームや軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅といったさまざまな施設があります。

介護施設に入居すれば、1日を通してプロの介護士に任せることができます。介護サービスの一部利用と比較しても、介護者の負担は大きく軽減するでしょう。

老老介護・認認介護によって共倒れになるリスクは十分にあるため、施設入居を選択肢として押さえておくと、精神的な余裕につながりやすくなります。

老老介護で頼りになる介護サービス

ここからは「老老介護で頼りになる介護サービス」を4つ紹介していきます。

・デイケア、デイサービス
・ショートステイ
・訪問介護、訪問看護
・介護施設(老人ホーム)

より詳しくサービス内容を理解し、安心して利用できるよう準備していきましょう・

デイケア・デイサービス

老老介護で頼りになるサービス1つ目は「デイケア・デイサービス」です。

デイケア・デイサービスは通所介護の1種で、日中施設に通う形態をとっています。主なメリットは以下のとおりです。

・自宅にこもりきりになるのを防ぐ
・心身機能の維持
・家族の介護負担を軽減する

食事・入浴・排せつといった身体介護だけでなく、レクリエーションやリハビリテーションを受けることができます。

ショートステイ

老老介護で頼りになるサービス2つ目は、「ショートステイ(短期入所生活介護)」です。

ショートステイでは、特別養護老人ホーム等の施設が短期間の入所を受け入れ、介護サービスを提供してくれます。

食事・入浴・排せつといった身体介護、レクリエーション等のサービスを受けられますが、連続で30日までしか利用できない点に注意しましょう。

訪問介護

老老介護で頼りになるサービス3つ目は、「訪問介護(ホームヘルプ)」です。

訪問介護ではホームヘルパーが利用者の自宅を訪問し、必要なサービスを提供します。

具体的なサービス内容は、食事・入浴・排せつなどの「身体介護」、洗濯・清掃・買い物支援などの「生活援助」、通院時の送迎や受診手続きのサポートなどの「通院介助」です。

訪問看護

訪問介護と同様の在宅サービスに「訪問看護」があります。

訪問看護では看護師が自宅を訪問し、状況に応じて以下のようなサービスを受けられるのが特徴です。

・血圧、脈拍、体温などの測定、病状のチェック
・排泄、入浴の介助、清拭、洗髪
・在宅酸素、カテーテルやドレーンチューブの管理、褥瘡の処理、リハビリテーション
・在宅での看取り

引用:厚生労働省『介護サービス情報公表システム どんなサービスがあるの? – 訪問看護』

介護施設(老人ホーム)

老老介護で頼りになるサービス4つ目は「介護施設(老人ホーム)」です。

「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「グループホーム」などの介護施設は、介護保険制度により原則1割(※)でサービスを利用できます。
※所得によって最大3割まで

また、「介護付き有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」といった施設でも「特定施設入居者生活介護」の指定を受けることで介護保険が適用されます。

ただし、入居費用や入居条件は施設によって異なるため、入居を検討する際はケアマネジャーや各施設へ問い合わせましょう。

まとめ

介護者・被介護者ともに65歳以上の老老介護や、双方が認知症である認認介護は、高齢化が進む日本において社会問題となっています。

・バランスのとれた食事や定期的な運動を行い、健康に気を配る
・同居人以外の家族と密に連絡をとる
・介護サービスの理解を深め、いざというときに備える

上記の対策により、老老介護・認認介護の問題を早めに対処することが重要です。

一覧に戻る

お気に入りした施設

No Favorites

閲覧した施設

お問い合わせはこちら

まずはお問い合わせください

ご相談・資料請求

気軽にお立ち寄りください

見学のお申し込み

↑